認知症の最新医療

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<特集>非アルツハイマー型認知症
-第3の認知症“非AD型変性性認知症”とは

Vol.4 No.4 通巻15号(2014年10月)

発売:2014年10月25日

価格:800円+税



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特集
Vol.4 No.4 通巻15号(2014年10月)

非アルツハイマー型認知症-第3の認知症“非AD型変性性認知症”とは

特集にあたって
下田健吾

 認知症は変性性認知症、血管性認知症、その他の認知症(感染、腫瘍、外傷などの原因で起こる)に分類される。脳の神経細胞の変化によって生じる変性性認知症のなかでも、アルツハイマー病の有病率が高いことから、アルツハイマー病=認知症であり、初期症状も認知症=見当識障害や記銘力障害という捉え方をしてしまうことが多いように思われる。医療者も認知症の診断について、簡易認知機能テストを行い、CTやMRI等の所見と併せて、アルツハイマー病であるかどうかということに気を取られがちな傾向にあるかもしれない。認知症の早期発見には、個々の疾患特有の初期症状を見逃さないことであることは重々認識していても、アルツハイマー病以外の「変性性認知症」については教科書で学んだ程度で、いざ臨床となると身近に相談できる専門医がおらず、自ら再学習しようとしても、実際の臨床向けにわかりやすくまとめた書籍が見つからないと感じている医療者は少なくないと思われる。
 そこで、今回はスキルアップのために「非アルツハイマー型認知症」を取り上げることにした。本誌のモットーである“わかりやすく読みやすい”を踏まえて、最近、第3の認知症として注目されるようになったレビー小体型認知症や前頭側頭型認知症、変性疾患に伴う認知症などに分類し、それぞれの分野に精通した専門医の先生に執筆をお願いした。この場を借りてお忙しいなかご執筆いただき深く御礼申し上げる次第である。
  本特集が認知症にかかわる医療関係者の皆様のお役に立つことができれば幸いであり、その結果、あまり取りあげられることのなかった「非アルツハイマー型変性性認知症」が再認識され、介護をされているご家族の一筋の光となることを願っている。

1.非アルツハイマー型認知症とは
-認知症の分類、代表的な疾患について
犬塚 貴

 非アルツハイマー型認知症として多いものは血管性認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭葉変性症、ごく少数ながら、進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、ハンチントン病などの神経変性疾患もある。これらの診断においては種々の神経症候、精神症状を捉えることが大切である。また頭部MRIや脳血流シンチ等の脳画像、123I-MIBG心筋シンチ、ドパミントランスポーターシンチも大きな手がかりとなる。治療可能な認知症 (treatable dementia)を見逃さないために、必ず頭部CT/MRIと血液検査、必要に応、髄液検査がなされるべきである。現在、アルツハイマー型認知症と診断されているなかには、神経原線維変化型老年期認知症、嗜銀顆粒性認知症が生前に鑑別できずに相当数含まれているという認識をもつ必要がある。

2.レビー小体型認知症
笠貫浩史

 レビー小体型認知症は大脳や自律神経系にレビー小体が広汎に出現し、認知症に加えて幻視やパーキンソニズムなどの多彩な症状が認められる。血液や髄液検査では特記する所見がなく、脳血流画像などの機能画像検査所見が診断補助として有用である。疫学調査からは認知症全体の10~15%程度を占め、男性にやや多くみられることが報告されている。抗精神病薬に対する過敏性を示す例があり、薬物治療にあたっては副作用への十分な配慮が必要である。身体合併症を生じるリスクが高く、予後はアルツハイマー病より不良な例が多い。病期別のケアに関する知見が不足している現状であり、今後の課題である。

3.前頭側頭葉変性症

1)前頭側頭型認知症(FTD)を中心に
荻原朋美 中村敏範

 前頭側頭型認知症(FTD)は若年性認知症のなかでは頻度の高い疾患である。45~64歳の初老期に限れば、有病率はアルツハイマー病(AD)と同等との報告もある。近年、FTDの診断基準の改訂が発表された。診断基準に記載されている症状を中心に、FTD特有の症状を見落とさないことが、精度の高い診断のためには重要である。治療については、薬物療法の効果が限定的であるため、非薬物療法での工夫が必要である。

2)意味性認知症(SD)、進行性非流暢性失語(PNFA)について
福原竜治

 前頭側頭葉変性症のうち意味性認知症(SD)と進行性非流暢性失語(PNFA)は、言語症状を障害の中心とする臨床的サブタイプである。意味性認知症は、意味記憶障害に由来する言語症状が病初期から際立っているが、性格変化や行動異常も伴う例も少なくない。進行性非流暢性失語では、失文法や失構音などの失語の症状が目立つが、行動障害は進行期まで出現しないとされる。薬物療法においては対症療法が中心であるが、主に行動障害に対して用いられる。非薬物療法では行動変容を目的としたルーティン化療法や、言語に対するリハビリテーションが試みられている。

4.変性疾患に伴う認知症
-大脳皮質基底核変性症(CBD)、進行性核上性麻痺(PSP)などを中心に
山崎峰雄

 進行性核上性麻痺(PSP)やcorticobasal syndrome(CBS)は、運動障害が前景に立つため、主に神経内科医が診療する疾患であるが、パーキンソン病と同様に非運動症状、とくに認知症の重要性が注目され始めている。近時記憶障害や見当識障害が前景に立つアルツハイマー病、幻視が特徴的なレビー小体型認知症や性格変化・反社会的行為が目立つ前頭側頭型認知症と異なり、認知機能障害には際立った特徴がないが、CBSでは進行性非流暢性失語や視空間認知障害、PSPでは自発性の低下や人格変化がみられ、臨床上問題となる。

情報発信

◆目で見る神経病理15
ハンチントン病
藤城弘樹

◆神経内科学のトピックス
血管性認知症
佐村木美晴 小野賢二郎 山田正仁

◆認知症に関連する用語15
パーソン・センタード・ケア/ユマニチュード
柴田展人

◆最近のジャーナルから
Martins I et al. Neuroscience 241: 41-51, 2013 /
Khemka VK et al. J Alzheimers Dis 41(2): 525-533, 2014
山本泰司

◆臨床に役立つ情報
高齢者のすまい③
井藤佳恵

◆認知症の人の思い、家族の思い11
両親二人の生活も限界?
認知症の人と家族の会 東京都支部


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