認知症の最新医療

認知症の最新医療

<特集>認知症の薬物療法-エビデンスレベルの高い薬物療法を目指して

Vol.4 No.2 通巻13号(2014年4月)

発売:2014年4月25日

価格:800円+税



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特集
Vol.4 No.2 通巻13号(2014年4月)

認知症の薬物療法-エビデンスレベルの高い薬物療法を目指して

特集にあたって
山本泰司

 診療の現場で認知症の診断ができても治療(薬物療法)ができなかった時代が長く続きました。その後、最初の抗認知症薬(ドネペジル)が臨床で使用されるようになってからすでに10年以上が過ぎました。
 しかし年月とともに、その薬物療法についてもしばらくすると治療効果が減弱したり、最初から効果が出にくい患者さんがおられることも明らかとなりました。その後、新たに3種類の抗認知症薬(ガランタミン、メマンチン、リバスチグミン)が相次いで発売され、現在では4剤の抗認知症薬が臨床で用いられるようになり3年あまりが過ぎました。
 抗認知症薬の種類と選択肢が増えたことは朗報ですが、新たな問題(疑問)として、これら4剤の薬物療法の理想的な具体的使用方法については、いまだ確立していません。
 そこで、本号の特集テーマを「認知症の薬物療法-エビデンスレベルの高い薬物療法を目指して」としました。さらに、本号の内容として「抗認知症薬の使い分けをする際に考慮すべき要素とは何か?」、「作用機序の異なるコリンエステラーゼ阻害薬とメマンチンの併用療法の相乗効果はいかなるものか?」、「最近話題になっている軽度認知障害(MCI)に対する抗認知症薬の早期投与による治療効果は期待できるのか?」、そして最後に「抗認知症薬の有効性とその限界とは?、さらには抗認知症薬の『やめ時』の目安は?」という4つの具体的な観点から考察することにしました。
 今回、認知症診療の現場で患者さんに深くかかわっている臨床医のなかから、上記4つのテーマそれぞれにふさわしい先生方に原稿をお願いしました。
 本号の内容が、認知症診療にさまざまな立場でかかわっている多くの方々に役立つものであることを願っています。

1.抗精神病薬の使い分け
橋本 衛

 現在、使用可能な抗認知症薬は、ドネペジル、ガランタミン、リバスチグミン、メマンチンの4種類であり、コリンエステラーゼ阻害薬(cholineaterase Inhibitor: ChEI)である前者3剤の間には明確な有効性の差はなく、メマンチンはChEIよりも認知機能の改善効果は弱いとされている。したがってアルツハイマー病患者に抗認知症薬を使用する際には、ChEIのどれか一つを第一選択薬とし、メマンチンはChEIが使用できない場合やChEIとの併用薬として用いる。どのChEIを優先すべきかについては、効果よりも忍容性、副作用、使いやすさ、費用などによって判断する。

2.コリンエステラーゼ阻害薬とメマンチンの併用療法
吉岩あおい

 アルツハイマー病(AD)の治療薬として, 現在3種類のコリンエステラーゼ阻害薬(ChE-I)とNMDA(N-methyl-D-asparate)受容体拮抗薬であるメマンチン塩酸塩を選択できる。「認知症疾患治療ガイドライン2010」においても, ChE-Iとメマンチンの併用が, 中等度以上ADの認知機能障害に対して有効であるとされている。すなわち中等度では, ドネペジル塩酸塩, ガランタミン, リバスチグミンのいずれかとメマンチン20㎎, 高度ではドネペジル塩酸塩10㎎とメマンチン20㎎の併用が可能であり, 重症度に応じた治療が行える。

3.軽度認知障害(MCI)に対する抗アルツハイマー病薬の効果について
檀上園子  中村 祐

 軽度認知障害(MCI)とは認知症は認めないものの、記憶障害が自覚または他覚的に認められる状態である。MCIの多くは認知症に移行することなども報告されているため、認知症の前段階としてのMCIに対する治療的介入に関心が向けられる。アルツハイマー病(AD)治療薬はコリンエステラーゼ阻害薬と非競合的NMDA受容体拮抗薬があるが、AD進展抑制の十分な効果は認められていない。MCIからADへの進展を抑制するためにAD発症以前に予防的介入を行う必要があり、今後AD進展を抑制しうる薬剤開発が期待される。

4.抗認知症薬の有効性と限界:いつやめるのか
山口 智  目黒謙一

 近年の抗認知症治療薬の進歩により余命が延長し、投与期間がより長くなるものと思われ、薬剤の有効性の限界をどのように判断するかが大きな問題となる。嚥下障害や意識障害による内服から貼付剤の変更や、高用量2剤併用でも最重度の寝たきり失外套状態となった場合に、家族がどのように判断されたのかを実際の症例で提示する。抗認知症薬の効果を進行抑制のみとし、最重度の状態に到達すれば終了とするのか、延命効果を期待し可能な限り継続するのかは、主治医が現時点でのエビデンスを説明したうえで、患者の尊厳や家族の思い、諸々の社会的事情等を熟慮し、家族が正しく判断できるよう支援する必要がある。

情報発信

◆目で見る神経病理13
マイネルト基底核
藤城弘樹

◆精神医学のトピックス
アルツハイマー病にみられる妄想
下田健吾

◆認知症に関連する用語13
サルコペニア/長寿遺伝子(sirtuin遺伝子)
柴田展人

◆最近のジャーナルから5
Zahodne LB et al. Am J Geriatr Psychiatry 21(11): 1098-1106,2013/ Spalletta G et al.PLoS One 9(2): e89216,2014
山本泰司

◆臨床に役立つ情報①
高齢者のすまい①
井藤佳恵

◆認知症の人の思い,家族の思い9
介護する家族の思い
認知症の人と家族の会 東京都支部


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