認知症の最新医療

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認知症の最新医療

<特集>
新オレンジプランの現状と課題

1/25発売

35号 Vol.9 No.4 (2019年10月)

発売:2019年10月25日

価格:800円+税



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特集
35号 Vol.9 No.4 (2019年10月)

新オレンジプランの現状と課題

特集にあたって
柴田 展人

 厚生労働省は,2015年1月に認知症施策推進総合戦略~認知症高齢者等にやさしい地域づくりに向けて~(新オレンジプラン5年計画)を発表し,7つの柱の施策が実施されてきました。7 つの柱はオレンジプランと同じ内容ですが,オレンジプランが厚生労働省内で策定したのに対して,新オレンジプランは関係省庁が共同して策定し,認知症の人の社会生活,生活全般に及んでいることが特徴です。また2018年末には,認知症施策推進のための政府関係閣僚会議が行われ,認知症施策の喫緊の課題として,共生と予防の推進の指針が打ち出されました。
 2019年末に節目の5年が近づき,実現されてきた目標と,まだ課題と思われる部分とが浮き彫りとなってきています。本特集企画では,主に現状の問題点,課題に焦点をあて,それぞれ専門の先生方に解説をいただきました。広い視野の内容から,事例検討,現場の生の様子まで,非常に多彩な構成となっています。また,認知症の介護現場の当事者の方(認知症の人と家族の会)に,この5年間の変化をどのように受け止めておられるかを,率直にご意見をいただきました。
 日々,診療,介護の現場で認知症の対応をされている方々にお読みいただき,今後の活動に活かしていただければと思います。

1.これからの認知症施策が向かうべき方向性について
粟田 主一

 家族性アルツハイマー型認知症の遺伝学・分子細胞生物学的解析は,老人斑の主要構成成分であるアミロイドβ蛋白(Aβ)の産生機構の異常がアルツハイマー型認知症の発症に深く寄与していることを示している。そのため,脳内におけるAβ産生抑制はアルツハイマー型認知症の根本治療薬となることが強く期待され,産生酵素であるβセクレターゼ,γセクレターゼの活性を制御する低分子化合物が精力的に開発されてきた。しかし複数の化合物が第Ⅲ相治験において検討されたが,現段階でこのアプローチで成功した薬剤は存在しない。本稿においては,これらセクレターゼ阻害薬開発の現状,そして展望について述べる。

2.若年性認知症への対策の課題
~若年性認知症支援コーディネーターの支援現場から~
駒井 由起子

 若年性認知症支援コーディネーターは新オレンジプランにより配置され,診断前から就労中および退職後の地域生活支援まで多岐に渡る課題を持つ若年性認知症の人と家族に対して,総合的な支援が行われている。見えてきた課題としては,就労中からのより早期の発見の必要性,就労継続の困難さと若年性認知症特有の就労支援の必要性,地域支援者に対する人材育成であった。

3.介護者への支援の課題
品川 俊一郎

 新オレンジプランにおいて7つの柱のうちの4番目に「認知症の人の介護者への支援」が挙げられており,介護者支援が重要視されていることがわかる。一方で具体的な目標値のある政策は認知症カフェの設置・普及のみであり,他の柱の政策と比べやや少ない。認知症カフェ自体は普及してきているが,運営上の課題も指摘されている。実際の認知症の医療現場においては,個々のケースの状況に合わせた個別的・かつ具体的な介護者支援が求められており,画一的な対応は難しいのが現状である。今後は介護者支援に向けたさらなる政策の充実と個別的な支援が可能な体制づくりが望まれる。

4.認知症の人にやさしい地域づくりの課題
藤原 聡子  近藤 克則

 新オレンジプラン(2017改訂)の7つの柱の5番目は「認知症の人を含む高齢者にやさしい地域づくりの推進」である。その具体的な取り組みについてWHOなどの国内外でのソフト・ハード両面から紹介する。また,2019年6月の認知症対策大綱では「共生」と「予防」が2本柱に位置付けられた。そこで,役割を持って社会参加しやすい地域づくりなどが予防につながるエビデンスを紹介する。最後に今後の課題として指標群の妥当性の検証や「見える化」の推進,取り組みの効果評価などがあることを述べる。

5.普及・啓発についての課題
大野 教子

 新オレンジプランが策定され4年が経過し,その対策をより強化するために,今年6月,「認知症施策推進大綱」が決定した。具体的な施策のひとつである「普及啓発活動」は引き継がれる。この4年間で,以前から比べると認知症についての知識は広がったようにも思えるが,「認知症だけにはなりたくない」と口にする人はまだまだ多い。認知症に対する偏見は根強く残っていると感じている。今,地域で次々と立ち上がっている家族会や認知症カフェは,当事者の居場所としてだけではなく,当事者の正しい理解を地域に広げるきっかけの場となることを期待している。

情報発信

◆目で見る神経病理<最終回>
Globular glial tauopathy
藤城 弘樹

◆神経内科学のトピックス
アルツハイマー病におけるbrain lymphatic drainage systemの障害
黒田 岳志  小野 賢二郎

◆認知症に関連する用語解説
暑さ指数 湿球黒球温度/出版バイアス
柴田 展人

◆最近のジャーナルから
Kimura A et al. Nutrients 2019 11. pii: E1951. doi: 10.3390/nu11081951 /
Giudici KV et al. J Nutr Health Aging 23: 386-392, 2019
監修 小川 純人

◆薬剤師と認知症-1
認知症ケアチームにおける薬剤師の役割
角 里恵子

◆認知症の人の思い、家族の思い
自分の思い上がりから夫に叩かれる
認知症の人と家族の会 東京都支部

これからの特集

※企画は変更する場合があります。

■Vol.10 No.1(通巻36号)

特集:成年後見制度Q&A ―制度が目指すところと現状の課題を知る

■Vol.10 No.2(通巻37号)

特集:認知症発症前から発症後のそれぞれに対する現在の取り組み
―医療関係者と行政、それぞれの立場で今できること

■Vol.10 No.3(通巻38号)

特集:生活習慣病と認知症

■Vol.10 No.4(通巻39号)

特集:精神症状 ―患者・家族の困っていること


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