認知症の最新医療

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認知症の最新医療

<特集>
生活習慣病と認知症
―生活習慣病から認知症リスクを考える

1/25発売

38号 Vol.10 No.3 (2020年7月)

発売:2020年7月25日

価格:800円+税



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特集
38号 Vol.10 No.3 (2020年7月)

生活習慣病と認知症
―生活習慣病から認知症リスクを考える

特集にあたって
小川 純人

 超高齢社会を迎えたわが国において,認知症の患者数は2012年に約462万人,2025年に約675万人,2050年に1000万人超えと今後も増加の一途をたどると予測されています。また最近の知見などから,種々の生活習慣病を原因や背景として認知症が発症・進展する可能性も次第に明らかになってきており,認知症自体の予防・診断・治療対策や認知機能・身体機能の定期的な評価に加えて,生活習慣病をはじめとした並存疾患の管理も大変重要となってきています。なかでも特に,糖尿病,高血圧などの生活習慣病はアルツハイマー型認知症や血管性認知症をはじめとした認知症や認知機能低下の病態に深く関与していることが次第に明らかになってきており,生活習慣病の側から認知症リスクを考える意義や必要性もますます高まってきています。
 今回の企画では,生活習慣病と認知症との間にどのような接点があるのか,特に生活習慣病の側から認知症リスクをとらえた場合の,両者の相互連関を見据えた実際的な予防・治療について取り上げました。具体的には,生活習慣病のなかでも糖尿病,高血圧,脂質異常症,肥満症・メタボリック症候群,慢性閉塞性肺疾患・喫煙を取り上げ,それぞれの疾患や病態に関して最新のガイドラインを含めた治療管理指針,および各疾患における認知症リスクやその特性,認知症予防に向けた生活習慣病管理などについて,各分野のエキスパートの先生方から最新知見や研究成果を交えて非常にわかりやすく解説,紹介いただきました。本特集を通じて,高齢者の医療やケアに携わる多くの方々に,生活習慣病と認知症との関連や疾患管理の重要性について理解を深めていただけたら幸いです。

1 糖尿病と認知症
田村 嘉章

糖尿病患者では認知症の発症率が高いが,高血糖のほか低血糖や血糖変動,インスリン抵抗性も発症リスクを上昇させる。なかでも低血糖予防は重要であり,重症低血糖のリスクのある薬剤の使用をなるべく少なくする。またCGA(高齢者総合機能評価)を行い,高齢者糖尿病診療ガイドラインを参考に,認知機能やADLの低下の状況に応じて柔軟に治療目標を決定する。認知・生活機能質問票(DASC-8)はその評価において有用である。

2 高血圧と認知症
鷹見 洋一

欧米の高血圧ガイドランに続き,2019年4月に日本高血圧学会からJSH20191)が発刊されたが,これらのガイドラインでは2015年に発表されたSPRINT(The Systolic Blood Pressure Intervention Trial)2)の結果を反映して,降圧目標の厳格化が提唱されている。しかし,高血圧と認知症に対する降圧治療のエビデンスは未だ不十分な状態であり,JSH2019を含む各国のガイドラインでもエビデンスに基づいた推奨はなされていない。本稿では認知機能低下および認知症の発症予防や進展抑制に関する高血圧治療の現状の知見について概説する

3 脂質異常症と認知症
玉岡 晃

血管性の危険因子は,糖尿病,脂質異常症,高血圧,喫煙等であるが,血管性認知症のみならずアルツハイマー病の危険因子としての関与が示唆されている。脂質低下薬の認知症の予防や治療効果は明らかではないが,血管性危険因子を有する患者に対して,心血管系や脳血管系のイベントの一次や二次予防を目的として脂質低下薬が使用されている。また,アルツハイマー病に対するスタチンの効果については一定した結論が得られていない。メタ解析では,スタチンがアルツハイマー病を含めた認知症のリスクを低減する可能性が示唆されているが,スタチンの種類による違いをはじめ,適切な対象や投与時期に関する研究が今後さらに必要である。

4 肥満症・メタボリック症候群と認知症
石川 崇広

高齢者の肥満または肥満症は若い人と同じ基準で診断するが,BMIが体脂肪量を正確に反映しないこともあるため注意を要する。また,中年期の肥満はアルツハイマー型認知症や血管性認知症を発症しやすいと報告されているが,高齢者の肥満と認知症との関連は明確ではなく,肥満よりもむしろ低体重やBMIの変化が大きいことが認知症のリスクであると考えられる。肥満高齢者に対する減量は認知症の進展抑制につながる可能性があるが,サルコペニアの発症・悪化を予防する点からも,食事療法のみならずレジスタンス運動を中心とした運動療法を併用することが重要である。

5 慢性閉塞性肺疾患・喫煙と認知症
冲永 壯治

慢性閉塞性肺疾患は主として長期のタバコ煙曝露で発症するが,非喫煙者も加齢とともに肺に閉塞性の病理変化が生じる。同様に,認知症ではなくとも,加齢によってアルツハイマー型認知症の病理変化が脳に生じる。慢性閉塞性肺疾患も認知症も加齢が大きなリスク因子となっており,また,どちらもうつを合併しやすく,生活習慣が発症に関与する。肺と脳という臓器の違いはあるものの,似た性格の疾患なのかもしれない。それが治療となると,片や抗コリン作用薬を吸入し,片やアセチルコリンの分解を抑制する薬を投与する。本稿では,認知症発症に慢性閉塞性肺疾患が関与するのか,あるいは喫煙は認知症発症のリスクになるのかということを改めて確認したい。また両疾患が合併した場合の診療について,矛盾なく治療ができるのかという問題を考察したい。

シンポジウム記録

「響け,本人の声! 届け,家族の想い」 記録(2)
第38回日本認知症学会シンポジウム24(認知症の人と家族の会合同シンポジウム)

情報発信

◆認知症に関連する用語解説
ドラッグリポジショニング/スタンダード プリコーション
柴田 展人

◆最近のジャーナルから
Kouzuki M et al. BMC Neurology 20: 110, 2020 /
Okabe K et al. Geriatr Gerontol Int 20: 584-588, 2020
監修 山本 泰司

◆薬剤師と認知症-4
認知症患者における多剤併用のリスクとは?
高野 賢児

◆認知症の人の思い、家族の思い
最近は叔母の介護に恐怖感を覚えるようになった
認知症の人と家族の会 東京都支部

これからの特集

※企画は変更する場合があります。

■Vol.10 No.4(通巻39号)

特集:BPSDに対するケアの最前線 ―新しい介入法とその課題

■Vol.11 No.1(通巻40号)

特集:アルツハイマー病の疾患修飾療法の現状と展望 ―臨床試験はどこまで進んでいるか

■Vol.11 No.2(通巻41号)

特集:運動・スポーツと認知症


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