認知症の最新医療

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<特集>パーキンソン病の認知機能障害
-PDの非運動症状としての認知機能障害を見逃さないために

28号 Vol.8 No.1 (2018年1月)

発売:2018年1月25日

価格:800円+税



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特集
28号 Vol.8 No.1 (2018年1月)

パーキンソン病の認知機能障害
-PDの非運動症状としての認知機能障害を見逃さないために

特集にあたって
小野賢二郎

 今回の特集は,「パーキンソン病の認知機能障害-PDの非運動症状としての認知機能障害を見逃さないために」です。
 パーキンソン病の代表的症状として“四大症状”と呼ばれるものがあります。それは,安静時振戦,筋固縮,無動(寡動),姿勢反射障害といった運動症状です。しかし,近年パーキンソン病でも運動症状以外のさまざまな症状が出現することが認識されるようになり,これらの症状は“非運動症状”と呼ばれています。 具体的には精神神経症状 (幻覚や認知機能障害など),睡眠障害, 自律神経障害などが挙げられます。このなかでもとくに認知機能障害についてはパーキンソン病の病態にとって重要な症状と考えられています。パーキンソン病における認知機能障害は,加齢やアルツハイマー病による認知機能障害とは異なる特徴を有しています。 たとえば,もの忘れなどの記銘力障害だけでなく,さまざまな情報を適切に処理して対応する遂行機能が障害されたり,幻覚やうつ症状といった精神的な症状が関与しやすいことです。パーキンソン病の認知機能障害については,アルツハイマー病に対するドネペジルや漢方の抑肝散などが治療薬として使われることがありますが,認知機能障害そのものに対する効果は乏しく,運動症状の治療薬である抗パーキンソン病薬とのバランスを上手くとりながらリハビリや介護の面でもサポートをしていく必要があります。
 本特集では,パーキンソン病の認知機能障害に関して認知機能障害の特徴,関連症状から画像検査,バイオマーカーに至るまで,この分野の第一人者の先生方にわかりやすく解説していただきました。本特集が,お読みいただいた皆様の明日からの日常診療に少しでもお役に立てれば,編集者として幸いです。

1.PDの認知機能障害
-レビー小体型認知症との鑑別は可能か
太田晃一

 パーキンソン病,認知症を伴うパーキンソン病,レビー小体型認知症は,αシヌクレイン凝集物を主成分とするレビー小体関連病理を有す同一スペクトラム上の疾患であり,これらはレビー小体病と総称される。パーキンソニズム(運動症状)と認知症の出現順序の違いにより区別されているが,認知機能障害,行動・心理症状,抗精神病薬過感受性,自律神経障害,画像診断などのバイオマーカー所見,コリンエステラーゼ阻害薬の効果と副作用,レボドパやドパミンアゴニストの運動症状改善効果,遺伝子的危険因子,剖検時病理所見に大きな差異はない。レビー小体病理の脳内進展様式の違いによる臨床病型の違いと考えられている。

2.PDの認知機能障害と関連する運動症状
村上秀友   小野賢二郎

パーキンソン病(PD)の認知機能障害に対する抗認知症薬による治療効果が期待されている。また,抗認知症薬が一部の運動症状を改善させることも報告されていることから,PD診療では認知機能障害と運動症状との関連が注目される。これまでに,遂行機能障害や視空間認知機能障害などが歩行や姿勢保持の障害と関連していることが報告されている。

3.PDの認知機能障害と画像診断
川畑和也   渡辺宏久   勝野雅央   祖父江 元

 パーキンソン病(PD)の認知機能障害の診断は,心理検査などを含む臨床症状が重要となる。画像の役割は,ほかの認知機能低下を示す疾患の鑑別が主であり,画像で認知機能障害を診断する方法は確立されていない。一方,多くの研究によって認知機能と関連する脳の変化が統計学的解析によって明らかになりつつある。近年ではアルツハイマー病(AD)やレビー小体型認知症(DLB)において,統計解析ソフトの開発により,研究レベルであった統計処理を用いた画像解析が臨床現場で役立つ場面が増えている。本稿では明らかになりつつあるPDの認知機能障害の新しい技術を含めた画像の特徴について述べる。

4.PDの認知機能障害と関連するバイオマーカー
笠井高士   徳田隆彦

 パーキンソン病(PD)における認知機能障害発症を診断・予測するうえで最も信頼性の高い生化学的バイオマーカーの変化は,脳脊髄液(CSF)中のアミロイドβ(Aβ)42の低下である。その他のバイオマーカーは,血液バイオマーカーを含めて再現性の検証が十分とはいえない。また,認知機能障害発症を単独で診断可能な生化学的バイオマーカーは現時点では開発されていない。

5.PDの認知機能障害と関連する嗅覚障
川﨑伊織   武田 篤

 嗅覚障害はパーキンソン病(Parkinson’s disease: PD)における代表的な非運動症状の一つであり,嗅球や扁桃体,眼窩前頭皮質など高次嗅覚野における病理変化によって生じることが示唆されている。近年,嗅覚障害がPD認知症の発症予測に有用であることが報告されるなど,嗅覚障害と認知機能障害との関係に注目が集まっている。一方,PD患者の多くが嗅覚障害を自覚していないことも知られており,われわれは嗅覚障害への無自覚と認知機能障害との関係について検討を行った。その結果,PD-MCI(mild cognitive impairment)患者では,自身の嗅覚障害を過小評価する傾向が強いことが示された。このことは,認知機能が低下しているPD患者の嗅覚障害を評価する際,問診だけでなく他覚的な嗅覚検査も併せて行うことの重要性を示唆している。

情報発信

◆目で見る神経病理
ヘモジデリン沈着
藤城弘樹

◆精神医学のトピックス
パーキンソン病におけるDBS治療と精神症状の関連について
柴田展人

◆認知症に関連する用語解説
モントリオール認知評価検査(Montreal Cognitive Assessment: MoCA)/ コクラン共同研究(Cochrane Collaboration)
柴田展人

◆最近のジャーナルから
Langa KM et al. JAMA Intern Med 177: 51-58, 2017 /
Webster L et al. PLoS One 12: e0179521, 2017
山本泰司

◆認知症患者の暮らしサポート情報
家族会・患者会を訪ねて
レビー小体型認知症サポートネットワーク-第3回
長澤かほる さん

◆認知症の人の思い、家族の思い
認知症,ご家族の思い
認知症の人と家族の会 東京都支部

◆伝えたいこと,知ってほしいこと-母の介護を通して-第4回(最終回)
暴言・暴力は介護で減らせる
岩佐まりさん


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