認知症の最新医療

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<特集>アルツハイマー病治療薬の副作用への対応-安定した服薬管理のために

Vol.6 No.4 通巻23号(2016年10月)

発売:2016年10月25日

価格:800円+税



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特集
23号 Vol.6 No.4 (2016年10月)

アルツハイマー病治療薬の副作用への対応-安定した服薬管理のために

特集にあたって
柴田展人

 日本では,アルツハイマー病患者さんの治療は1999年から現行の4剤体制となる2011年までは,さまざまな副作用対策をしながら,唯一の抗認知症薬であるドネペジル内服を継続する以外に選択肢はありませんでした。現在は3種類のコリンエステラーゼ阻害薬とメマンチンのそれぞれの特徴を活かし,効果・副作用を観察しながら,適宜変更,追加することができるようになりました。長期の治療のなかで,中核症状への効果が乏しく,認知機能の低下が急速の場合には,薬剤変更は積極的に進められるべきです。一方で,中核症状に効果があり,ご家族の評価なども良いのに,副作用のために薬剤の減薬・変更などを検討せざるを得ないこともよく経験します。
 本特集では,アルツハイマー病治療のご専門の先生方に,あまり触れられない“副作用”に着目し,ご執筆いただきました。とくに頻度の高い副作用について,その対策にもわかりやすく言及していただいています。副作用対策をしながら継続するのか,もしくは薬剤変更するのか,判断が難しい状況の大きな手助けとなれば幸いです。

1.アルツハイマー病治療薬の継続のための工夫
山田峻寛   仲秋秀太郎   渡辺範雄

 アルツハイマー病治療薬の継続のためには副作用の管理だけではなく,家族への十分な説明と,患者と家族が服薬管理を適格に行える工夫が有効である。これらの取り組みは家族と患者間の関係性の緊密化にもつながり,認知症治療薬の継続のみならず患者のQOL(quality of life)の改善をもたらす可能性がある。

2.副作用と考えられた際の対応

1)精神症状
角 徳文
 アルツハイマー病治療薬の副作用による精神症状の頻度は国内臨床試験のデータからは2.6~5.8%程度と推測され,本来の認知症の行動・心理症状(behavioral and psychological symptoms of dementia: BPSD)の出現頻度よりかなり低い。また,治療薬剤と精神症状の関係は,従来いわれているほど単純ではないのかもしれない。これらの点からも副作用による精神症状とBPSDの鑑別は難しいかもしれない。精神症状の対応に際してはやみくもに薬剤を変更するのではなく,介入の必要性の是非,誘因の検討といったBPSD介入と同様の原則に従うことが重要と思われる。

2)消化器症状
丸木雄一
 副作用対策の原則は,患者・家族に起こりうる副作用の十分な説明と漸増法を守ることが前提である。アセチルコリンエステラーゼ阻害薬(AChE阻害薬)においては,その主たる薬効であるムスカリン作用による下痢,悪心・嘔吐,食思不振を認める。その対応として,①消化器症状が強い場合,中止・減量,②消化器症状が軽い場合,悪心・嘔吐,食思不振にはプロトンポンプ阻害薬または制吐剤の併用,③下痢の場合,下痢止め,整腸剤の併用,④ドネぺジル,ガランタミンによる嘔気,食思不振の場合,リバスチグミンパッチへの変更,⑤ドネぺジル,リバスチグミンパッチによる下痢の場合,ガランタミンに変更する。NMDA受容体拮抗薬(メマンチン)による便秘には,水分,繊維食物摂取の増加,下剤の内服で対応する。

3)循環器症状
高谷具史
 現在,本邦で使用可能なアルツハイマー病治療薬は,アセチルコリンエステラーゼ(AChE)阻害薬とN-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)受容体拮抗薬である。今後,治療対象となる症例は増加してくるものと思われるが,前者については循環器疾患に関する副作用の報告が散見される。添付文書上,徐脈,失神,QT延長,狭心症,心筋梗塞といった副作用が記載されているが,本稿では主に失神を呈する原因である,徐脈やQT延長からのtorsades de pointesへの対応について言及した。もともと致命的な疾患に対する治療薬ではないが,副作用としては急性期対応を要する疾患も含んでおり,有事にはすぐに循環器内科医に相談いただき,中止も含めた対応を検討すべきである。

4)皮膚症状
川畑信也
 貼付剤であるリバスチグミンの最大の問題は,皮膚症状(かゆみ,紅斑)の発現である。高齢者では,保湿機能の低下,皮膚の乾燥を起こしやすいので皮膚症状の予防として保湿剤,主としてヘパリン類似物質製剤の使用が勧められる。出現した皮膚症状にはstrong class,あるいはvery strong classのステロイド外用薬を使用する。速乾性のあるステロイド外用薬を貼付前に塗布することで,皮膚症状の発現を抑制できる可能性が想定される。ステロイド外用薬で皮膚症状の軽減を図れない時には,貼付用量の減量かあるいは2週間前後の休薬を考慮する。

原著

◆介護老人保健施設における認知症短期集中リハビリテーションの効果とその持続
加藤真司  仁木美砂子  前田 潔  谷口 洋

情報発信

◆目で見る神経病理
嗅球
藤城弘樹

◆神経内科学のトピックス
高齢者のてんかんと認知症の関連
石垣征一郎  小野賢二郎

◆認知症に関連する用語解説
異食症 / 嗜銀顆粒性認知症
柴田展人

◆最近のジャーナルから
CKojima G et al. J Am Med Dir Assoc 2016 Jun 17. doi: 10.1016/j.jamda.2016.05.013 /
Namioka N et al. Geriatr Gerontol Int. 2016 Jun 14. doi: 10.1111/ggi.12804
小川純人

◆多職種連携-衣食住を中心に:認知症患者さんの「食」と多職種連携-1
アルツハイマー病と食の関連性
久保田正和  木下彩栄

◆認知症患者の暮らしサポート情報
家族会・患者会を訪ねて
彩星の会-第2回
井藤佳恵

◆認知症の人の思い、家族の思い
夫のデイサービスでの行動に不安を感じ,治験も参加
認知症の人と家族の会 東京都支部


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