認知症の最新医療

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<特集>レビー小体型認知症-重要な認知症を見逃さないために

Vol.6 No.3 通巻22号(2016年7月)

発売:2016年7月21日

価格:800円+税



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特集
Vol.6 No.3 通巻22号(2016年7月)

レビー小体型認知症-重要な認知症を見逃さないために

特集にあたって
小野賢二郎

 今回,第22号の特集は,「レビー小体型認知症-重要な認知症を見逃さないために」です。
 レビー小体型認知症(dementia with Lewy bodies: DLB)は,1976年に日本の小阪憲司らによって発見されたびまん性レビー小体病を基本としており,日本ではアルツハイマー病や脳血管性認知症と並び三大認知症と呼ばれています。
 DLBの臨床的特徴には進行する認知機能障害に加えて,認知機能の動揺,パーキンソニズム,繰り返す具体的な幻視,うつ症状などが挙げられます。
 診断面では,最近シナプス前ドパミントランスポーターのSPECTイメージングや心筋MIBGシンチグラフィといった核医学検査の有用性が報告され,DLB診断の有力なツールになっております。
 治療薬は,2014年にドネペジルの進行抑制効果が確認され,わが国でも治療薬として認可されております。
 病理学的特徴として,中枢神経系において多数のレビー小体およびレビー関連神経突起が出現し,神経細胞の脱落がみられ,レビー小体の主成分はα-シヌクレイン蛋白(αS)で,そのほとんどが不溶性の凝集体である成熟線維からなります。
 従来,レビー小体として蓄積する線維が神経毒性を発揮すると考えられていましたが,凝集過程の早期段階であるオリゴマーの研究に注目が集まっており,αS凝集,とくにオリゴマー形成と神経変性に焦点を当てた治療薬開発の研究が全世界で精力的に行われています。
 上述の臨床および基礎的研究の進歩を背景に,今回の特集ではDLBの臨床診断から画像検査,病理,薬物治療からαS凝集に焦点をあてた根本治療薬開発に至るまで,この分野の第一人者の先生方にわかりやすく解説していただきました。本特集が,お読みいただいた皆様の明日からの日常診療に少しでもお役に立てれば,編集者として幸いに思います。

1.レビー小体型認知症の臨床診断
水上勝義

 レビー小体型認知症(DLB)の臨床診断は,診断基準をもとに行われるが,早期例では中核的特徴が揃わず診断が困難なことが多い。レム期睡眠行動異常はDLB発症の数年~十数年前からみられることがあり,DLBの診断には重要な所見である。このほかDLBはうつや幻覚・妄想など精神症状で発症する場合,自律神経症状で発症する場合,パーキンソニズムで発症する場合,認知症で発症する場合など,レビー小体の出現パターンによって発症の仕方はさまざまである。したがってDLBの早期や前駆段階でしばしばみられる症状に注目し,DLBの可能性を念頭におきながら注意深く経過を観察することがDLBを見逃さないために重要といえる。

2.レビー小体型認知症の画像診断
吉田光宏

 レビー小体型認知症(dementia with Lewy bodies: DLB)の臨床診断の基本は,詳細な病歴聴取,精神症候の把握である。DLBに特徴的な症候として,変動する認知障害,繰り返す具体的な幻視,パーキンソニズム,レム睡眠行動異常,うつ症状,妄想,アパシー,幻視以外の幻覚などの精神症状,転倒や失神の病歴があれば,診断は比較的容易であるが,早期には,これらの症候が明らかでない場合があり,補助検査として神経画像検査を用いることで,診断精度を高めることができる。画像検査には,頭部MRI(除外診断,軽度海馬萎縮),123I-MIBG心筋シンチグラフィ(心筋への集積低下・欠如),脳血流SPECT(後頭葉脳血流低下),糖代謝PET(後頭葉糖代謝低下),ドパミントランスポーター画像(線条体集積低下)などがある。補助検査の使用にあたっては,各種検査の感度,特異度,長所,欠点を踏まえて,総合的に判断することが肝要である。

3.レビー小体型認知症の病理
藤城弘樹  井関栄三

 レビー小体型認知症(dementia with Lewy bodies: DLB)は,臨床病理学的疾患概念であり,その病理学的特徴として,レビー小体,レビー神経突起,海綿状変化,アルツハイマー病理が挙げられる。またDLBでは,中枢神経系のみならず,末梢自律神経系も障害され,自律神経障害が高頻度に出現する。病理診断基準では,レビー病理とともにアルツハイマー病理の程度を考慮することで,DLB臨床症候群(DLBらしさ)が規定されることを述べた。DLBの臨床診断における感度を向上するために,縦断的な臨床病理学的検討が必要である。

4.レビー小体型認知症の薬物治療
橋本 衛

 レビー小体型認知症(DLB)の治療の標的となる臨床症状には,認知機能障害,幻覚・妄想・うつ・睡眠障害などの精神症状,パーキンソン症状,便秘や起立性低血圧などの自律神経症状が挙げられる。DLBの一つの症状に効果を示す薬剤は,その他の症状を悪化させるリスクも有しているため,個々の症状に対する有効性だけを指標にして薬剤を選択するのではなく,患者にとって優先的に治療すべき症状は何かを十分に検討する。そのうえで,薬剤を使用する順番や開始のタイミングを決定するといった治療戦略が必要となる。

5.α-シヌクレイン凝集とレビー小体型認知症の根本治療薬開発
高橋良一  小野賢二郎  山田正仁

 Lewy小体型認知症 (dementia with Lewy bodies: DLB)は中枢神経系に広範なLewy小体の出現を伴う認知症の総称である。DLBの特徴には変動する認知障害,パーキンソニズム,繰り返す具体的な幻視,うつ症状などがある。DLBの発症メカニズムにはα-シヌクレインの異常による神経細胞障害が関与しているといわれており,細胞内蛋白凝集体が細胞間を伝播することで神経変性が進行する可能性が考えられている。現在,DLBの進行過程を改善するような根本治療薬は存在しない。本稿ではDLBの発症メカニズムに基づいた治療薬の開発について概説する。

情報発信

◆目で見る神経病理
脳梗塞
藤城弘樹

◆精神医学のトピックス
高齢者と自殺について
柴田展人

◆認知症に関連する用語解説
CATIE-AD study / オレキシン
柴田展人

◆最近のジャーナルから
Cova l et al. Dement Geriatr Cogn Disord 41(3-4): 172-180, 2016 /
Soysal P et al. J Nutr Health Aging 20(4): 398-403, 2016
山本泰司

◆認知症患者の暮らしサポート情報
家族会・患者会を訪ねて
彩星の会-第1回
井藤佳恵

◆認知症の人の思い、家族の思い
熊本地震-被災地からの声
認知症の人と家族の会 東京都支部


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