認知症の最新医療

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<特集>筋骨格系の老化と認知症-認知機能と身体機能とをつなぐ架け橋とは

Vol.4 No.3 通巻14号(2014年7月)

発売:2014年7月25日

価格:800円+税



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特集
Vol.4 No.3 通巻14号(2014年7月)

筋骨格系の老化と認知症-認知機能と身体機能とをつなぐ架け橋とは

特集にあたって
小川純人

 超高齢社会を迎えるわが国において、高齢者に対する介護予防推進に向けた取り組みが進んでいますが、なかでもロコモティブシンドロームをはじめとする運動器障害のケア・予防や認知症対策は、生命予後やADL、QOLに及ぼす影響が大きいことからも重要な課題となってきています。また近年、生活機能障害や要介護状態につながる要因としてフレイル*や加齢性筋肉減少症(サルコペニア)にも注目が集まってきており、高齢者における身体的・心理的・社会的側面が相互に関連している点や、高齢者総合機能評価(CGA: comprehensive geriatric assessment)をはじめとするスクリーニング法の活用や介入方法についても次第に関心が高まってきております。
 今回の企画では、このように加齢に伴って認められる身体機能低下と認知機能との間にどのような接点があるのか、とりわけロコモティブシンドローム、サルコペニアや転倒リスクと認知症との関連性について取り上げました。さらにまた、認知症の予防・治療に向けた先進的な運動介入やリハビリテーションの取り組みについて、各分野でご活躍の第一人者の先生方から最新の知見や研究成果を交えて非常にわかりやすく解説、紹介いただきました。本特集を通じて、筋骨格系の老化と認知症についてより一層理解が深まり、認知症診療や高齢者の医療介護に携わる多くの方々にとって一助となることを願っております。

*フレイル:高齢になり筋肉や活力が衰えた要介護前段階を指す用語として、「日本老年医学会」が新たに命名。
frailtyを語源としており、「高齢期に生理的予備能が低下することでストレスに対する脆弱性が亢進し、生活機能障害、要介護状態、死亡などの転帰に陥りやすい状態」を指す。
(フレイルに関する日本老年医学会からのステートメントより)

1.認知症とロコモティブシンドローム
吉村典子

 要介護の原因として、ロコモティブシンドローム(ロコモ)および認知症は予防が急務な疾患である。一般住民を対象とした大規模臨床統合データベースROADプロジェクトのデータ解析から、ロコモの原因疾患の一つである変形性膝関節症(KOA)の有病率を推定したところ、男性42.0%、女性61.5%ときわめて高かった。一方、軽度認知障害(mild cognitive impairment: MCI)の有病率は男性5.1%、女性4.2%と低かった。3年間の追跡調査を行い、KOA発生の有無を目的変数とし、MCIの有無を説明変数として、ロジスティック回帰分析を行ったところ、MCIはKOA発生のリスクを4.9倍上げていた。

2.認知症と転倒・サルコペニア
山口 潔

・筋力低下は認知症の危険因子であり、運動療法は最も有効な予防法である。
・認知症発症に伴い、転倒、サルコペニアを合併する可能性は高くなる。
・認知症の人の転倒予防対策として、遂行機能の訓練が注目されている。

3.認知症予防に向けた運動介入とその可能性
島田裕之

 認知症を予防するためには、軽度認知障害(mild cognitive impairment: MCI)を有する高齢者を対象としたアプローチが必要となる。運動習慣をもつ高齢者は、将来の認知症発症の危険性が低いことが縦断研究により明らかにされ、運動の実施は高齢者の認知機能を向上させることが介入研究により明らかにされた。今後は、大規模ランダム化比較試験により、運動による認知症の発症遅延効果を検証し、多くの高齢者が運動や活動に参加可能なシステムを構築しなければならない。

4.認知症リハビリテーションとその可能性
旭 俊臣

 近年、認知症高齢者の急増とともに、認知症リハビリテーション(以下、リハビリと略記)を必要とする高齢者も急増している。認知症リハビリは、認知症によって心理面と身体機能に、神経心理療法、理学療法、作業療法、言語療法を複合的に取り入れて行う療法である。認知機能障害、および周辺症状が進行した時には、通所リハビリ、短期集中リハビリを行うと、症状がある程度改善する。脳血管障害、骨折、肺炎および外科的手術後に発症する仮性認知症は、リハビリ病院に入院して入院デイケアを行うと認知機能、周辺症状もある程度改善される。千葉県では認知症連携パス(オレンジ連携シート)が2012年に作成され、県内4カ所でモデル事業が行われた。認知症リハビリが広く行われるために、この連携パスの拡充を図っていくことが今後の課題である。全国的にも認知症リハビリは十分行われていないため、今後全国に拡充する必要がある。

情報発信

◆目で見る神経病理14
青斑核
藤城弘樹

◆精神医学のトピックス
新しい臨床診断基準「DSM-5」用いた認知症の鑑別診断の紹介
山本泰司

◆認知症に関連する用語14
CDR(Clinical Dementia Rating)/ドパミントランスポーター(DAT)スキャン検査
柴田展人

◆最近のジャーナルから
Yaffe K et al. JAMA Intern Med 173(14):1300-1306,2013 /
Bruce DG et al. J Alzheimers Dis 2014 May 19. [Epub ahead of print]
山本泰司

◆臨床に役立つ情報①
高齢者のすまい②
井藤佳恵

◆認知症の人の思い、家族の思い10
在宅介護の決意
認知症の人と家族の会 東京都支部


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