認知症の最新医療

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<特集>脳以外の慢性疾患と認知症-認知症診療に必要な身体疾患の理解のために

Vol.3 No.4 通巻11号(2013年10月)

発売:2013年10月25日

価格:800円+税

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特集
Vol.3 No.4 通巻11号(2013年10月)

脳以外の慢性疾患と認知症-認知症診療に必要な身体疾患の理解のために

特集にあたって
柴田展人

 認知症の診療のなかで、高血圧、高脂血症、糖尿病といった生活習慣病を合併している患者さんが多いことは実感されるところです。特に最近、糖尿病とアルツハイマー病との関係には非常に注目が集まっております。また人工透析の患者さんでもアルツハイマー病に代表される認知症を発症するケースがよく見受けられます。身体(脳以外)の慢性疾患と認知症発症の因果関係は、疫学的には多くのエビデンスがあり、認知症専門医だけではなく、一般医、コメディカルスタッフの方々にも広く認識されています。一方、身体の慢性疾患が認知症を引き起こす“機序”については、どうでしょうか。認知症の成書を見ても、“機序”についてわかりやすく論じられたものは少ないようです。実は認知症を引き起こす慢性疾患はさまざまであり、疫学的なデータだけでなく、“機序”についても解明が進んできています。

 今回の企画では、それぞれの慢性疾患を専門とされている先生方に、主にその“機序”について論じていただきました。各先生方には、複雑な病態生理を非常にわかりやすく解説していただき、最新の知見もご紹介いただいています。認知症の診療では、高齢で慢性疾患を合併している患者さんが多くいます。そのような患者さんを診療・介護していくうえで、慢性疾患と認知症の関係を理解することも重要な課題です。本特集が、読者の皆様の認知症診療の一助となることを願っております。

1.糖尿病と認知症
梅垣宏行

 近年、糖尿病が認知症発症の危険因子であることが明らかになってきており、糖尿病と認知症が併存するケースはますます増加するものと思われる。糖尿病がなぜ、神経変性疾患であるアルツハイマー型認知症(AD)の発症を増やすのかは、いまだ不明な点が残されてはいるものの、インスリン抵抗性の関与、アミロイドβ(Aβ)の産生の増加、タウリン酸化の亢進、血管障害の関与などが想定されている。治療においては、高齢で低血糖の危険性の高いことが多い認知症患者では、血糖のコントロール目標はさまざまなメリット・デメリットを勘案したうえで、慎重に設定されるべきである。糖尿病と認知症は相互に関連しあう病態であり合併することが多い。患者・介護者のQOLを維持するために、両者の病態を理解したうえで総合的な治療が求められる。

2.全身性エリテマトーデス(SLE)と認知症
勝又康弘

 全身性エリテマトーデス(SLE)患者において、軽度認知機能障害はしばしば認められるが、進行性の低下をたどるのはごく少数である。情報処理速度・注意・実行機能の低下が含まれる一方、言語は保たれるという特徴がある。認知機能障害は疾患活動性の指標と関連せず、病態機序も明らかではない。SLE患者の認知機能障害に対しては、まず、原疾患以外の発症・悪化要因の同定に努めるべきである。ステロイドなどの免疫抑制療法も推奨されていない。

3.脂質異常と認知症
倉田智子  阿部康二

 高脂血症と認知症の間の因果関係は、多くの研究で示唆され、そのメカニズムには脂質の過酸化による酸化ストレスや脂質輸送システムの異常が考えられている。高脂血症の治療薬であるスタチン〔HMG-CoA (3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリル補酵素A)還元酵素阻害薬〕により上記の障害が改善し、ひいてはアミロイドβ(Aβ)沈着が抑制されることからも脂質代謝異常の予防や早期の改善が認知症の予防に有効であると考えられる。

4.腎疾患と認知症
長沼俊秀  武本佳昭

 近年、慢性腎臓病(chronic kidney disease: CKD)が認知機能低下の危険因子であることが明らかになってきている。腎機能低下に伴いその割合は増加し、透析患者においては同年齢の健常人と比較して2倍以上に及んでいるとの報告がされている。透析患者ではアルツハイマー型認知症(AD)より血管性の認知症が多い特徴がある。また、透析患者において、大脳白質病変(white matter hyperintensities: WMHs)と認知症との関連が指摘されている。

5.呼吸器疾患と認知症
瀧  靖之

 近年の複数の研究から呼吸機能と認知力の間に相関がある可能性が示唆されている。しかしながら、これらの相関の機序はこれまで明らかになっていなかった。そのため我々は呼吸機能と脳体積との相関を解析したところ、有意な相関があることが明らかになった。脳体積と認知力との間に有意な相関があることが明らかになっているため、呼吸機能の維持が認知力を保つうえで重要である可能性が示唆された。

情報発信

◆目で見る神経病理11
アストロサイト斑
藤城弘樹

◆神経内科学のトピックス
米国精神医学会 精神障害の診断と統計の手引き(DSM-5)の改訂について
柴田展人

◆病名に名を残した医学者10
カール・アドルフ・フォン・バセドウ
新井平伊

◆認知症に関連する用語11
アウトリーチ/拡散強調MRI画像
柴田展人

◆最近のジャーナルから3
Russ TC et al. Atherosclerosis 228(1): 256-258, 2013/
Nordstrom P et al. Eur Heart J 34(33): 2585-2591, 2013
監修 山本泰司

◆臨床に役立つ連絡先11
地域福祉権利擁護事業5(日常生活自立支援事業)
監修 井藤佳恵

◆認知症の人の思い,家族の思い7
認知症と告知された人の思い-前編
認知症の人と家族の会 東京都支部

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