認知症の最新医療

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<特集>軽度認知機能障害(MCI)-様々な診療科で診ることになったMCIへの対応

Vol.2,No.2 通巻5号(2012年4月)

発売:2012年4月25日

価格:800円+税



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特集
Vol.2,No.2 通巻5号(2012年4月)

軽度認知機能障害(MCI)-様々な診療科で診ることになったMCIへの対応

特集にあたって
柴田 展人

昨今、アルツハイマー病を中心とした認知症はメディアでも多く取り上げられるようになり、一般の方々からも注目が高まっています。2011年は新薬の登場もあり、認知症の早期診断、早期治療開始の重要性も広く認知されてきています。そのため軽度の認知症状、いわゆる軽度認知機能障害(mild cognitive impairment: MCI)でも、医療機関を受診するケースが急速に増えています。一方で医療機関側も、もの忘れ外来、認知症外来などの名称を掲げ、様々な診療科で診察を行っています。企画者は精神科医ですが、他の診療科ではどのようなMCI患者さんが受診しているのか、日頃から非常に興味を持っていました。  今回の企画はこのような状況をふまえて、診療科によりMCI患者の診察・検査・治療にどのような違いがあるのかを論じていただきました。執筆いただいたのは、主にMCI患者が受診する精神科、脳神経内科、老年内科の各領域の先生方です。実際の臨床場面でのご経験から、その科ならではの特徴をわかりやすく紹介していただきました。さらに一般内科では、どのようにMCI患者さんに対応されているのか、解説をしていただきました。  日頃からMCI患者さんを診療される専門医はもちろん、一般医、コメディカルスタッフの方々にも非常に参考になる内容となっています。それぞれの診療科の特徴などをご理解いただき、今後のMCI患者さんへの対応にお役立ていただけるよう期待しています。

1.軽度認知機能障害(MCI)の最近の動向
池嶋 千秋 朝田 隆

年齢に比して正常とはいえない認知機能低下があるものの、認知症の診断基準も満たさない臨床症候群を軽度認知機能障害(mild cognitive impairment:MCI)と呼ぶ。MCIの診断は日常生活状況より認知症ではないことを確認したうえで、客観的な指標を用いて認知機能低下の存在を証明することが基本となる。現状では多数のMCI類似概念が提唱されているが、今後は概念整理が進められDSM-5にMinor Neurocognitive Disorderとして採用される予定である。

2.精神科における軽度認知機能障害(MCI)
永田 智行 品川 俊一郎

Mild cognitive impairment(MCI)は健常老人から認知症患者へ移行する前駆状態として現在位置づけられている。認知症の早期発見・早期予防が強調されるなか、専門外来以外で精神科医がMCIを診療する機会が増えている。MCIの臨床像を呈する原因として、変性疾患や血管性、頭部外傷など器質性要因が挙げられる。一方でうつ病やせん妄などの精神疾患との鑑別が重要となる。本稿では、精神科医が日常診療において、見落としがちなMCIとの鑑別診断を中心に概説する。

3.神経内科における軽度認知機能障害(MCI)
和田 健二 山本 幹枝 中島 健二

神経内科においてもアルツハイマー型認知症の前段階としたMCIの頻度は高い。神経内科では運動症状を主体とする神経変性疾患を診療しており、なかでもパーキンソン病(PD)は頻度の高い疾患である。PDは黒質-線条体のドパミン神経系の他にも広範な神経変性を来たすため、movement disorderという枠から多系統にわたる神経変性疾患としてのParkinson’s complexという概念で捉えられるようになった。わが国のPD患者の有病率は人口10万人あたり150人程度と考えられており、人口の高齢化ならびに治療法の発達などの影響により増加傾向にある。特に高齢患者が増えているためPD患者における認知機能低下は重要な問題となっており、PDにおける認知症の前段階は今後注目すべき病態と考えられる。

4.老年病科における軽度認知機能障害(MCI)
鴨川 賢二

老年病科においても軽度認知障害(MCI)は重要な病態の一つである。高齢者特有の変化に加えて、各種疾患の合併や移行が疑われる症例もあり、その診断は必ずしも容易ではない。高齢MCI患者では、アルツハイマー病以外にも神経原線維型認知症やレビー小体型認知症(DLB)にも注意すべきである。近年、脳と脂肪組織との関連も指摘されており、予防介入の新たな視点として注目される。

5.一般診療の場面における軽度認知機能障害(MCI)
水谷 佳子 戸谷 修二 木之下 徹

地域に暮らす人たちにとって身近な一般診療の場面において、医療者と受診者の関係は、濃密に築かれる可能性がある。一方、認知症の症状は脳の器質的・機能的変化のみに依存するものではなく、人間関係のあり方などによっても変化する。受療する認知症の人の視点からみれば、診療の機会を通じ、MCI(軽度認知機能障害)や認知症の人と「ともに歩む」ように人と人との関係を築くことが、一般内科の実臨床に望まれる。

情報発信

◆精神医学のトピックス
認知症介護者のメンタルヘルス
柴田 展人

◆目で見る神経病理5
嗜銀顆粒(グレイン)
藤城弘樹

◆病名に名を残した医学者5
ジェイムズ・パーキンソン
新井平伊

◆認知症に関連する用語5
胃瘻(いろう) / REM睡眠行動障害(RBD)
柴田展人

◆臨床に役立つ連絡先5
成年後見制度 part3
井藤佳恵

◆認知症の人の思い,家族の思い1<新連載>
「認知症の人と家族の会」について
認知症の人と家族の会 東京都支部


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