認知症の最新医療

認知症の最新医療

<特集>認知症診断に役立つ臨床検査―最新の検査を理解するために―

Vol.2,No.1 通巻4号(2012年1月)

発売:2012年1月25日

価格:800円+税



  • 本誌概要
  • 最新号のご案内
  • 創刊メッセージ
  • バックナンバー
  • トピックス・連載
  • 広告掲載料金・投稿規定

特集
Vol.2,No.1 通巻4号(2012年1月)

認知症診断に役立つ臨床検査―最新の検査を理解するために―

特集にあたって
小野 賢二郎

 今回、第4号の特集は、「認知症診断に役立つ臨床検査」である。
 アルツハイマー病(AD)の基礎レベルでの病態研究の進歩とともに、ADの根本的治療法(disease-modifying therapy: DMT)の可能性が現実味を帯びてきており、実際に臨床治験も進みつつある。DMTの開発・実現を推し進めていくためには、ADの早期診断、早期治療が重要である。このような背景のなかで、画像マーカー、脳脊髄液、血液などのバイオマーカーを経時的に検索し、そこに臨床・神経心理学的評価を組み合わせてADの発症・進行をモニターしようとする、AD Neuroimaging Initiative(ADNI)が2005年より米国で開始された。わが国でも2007年度からJ-ADNIが本格的に開始された。ADNIの結果も少しずつ論文報告されてきている。
 このようなAD診療、研究の流れにおいて、今回の特集はまさにタイムリーといえる。幸運にもそれぞれの分野で世界最先端の診療・研究をされている先生方に承諾を得ることができた。また、本号の神経内科トピックスも認知症の検査の有力なツールであるMIBG心筋シンチグラフィーに関して吉田先生に解説していただくことができた。
 ただ、実際の認知症診療の現場において、ADと脳血管性認知症、あるいはレビー小体型認知症など他の認知症性疾患との鑑別が容易ではないときも少なからずあるのは事実だと思う。
 この充実した内容の特集号を読まれた医師やコメディカルの方々が、昨日より一歩進んだ認知症診療を進めていただけたら企画側としては、この上ない喜びである。

1.認知症のMRI診断
金高 秀和 羽生 春夫

認知症の確定診断は病理学的になされるが、臨床診断には画像診断が重要な役割を果たす。アルツハイマー病では、海馬や海馬傍回の萎縮がみられるが、統計学的解析を用いることによって、微細な変化も鋭敏に捉えられるため早期診断に有効な手段となっている。ただし、レビー小体型認知症や脳血管性認知症などの他の原因による認知症でも、海馬や海馬傍回の萎縮を来たすことがあるため留意が必要である。認知症の診断には、臨床症候や経過、他の検査所見などから総合的に行うことが重要であるが、MRI画像の果たすべき役割は大きい。

2.SPECT
久慈 一英

認知症におけるSPECT検査の初期の役割は、特徴的なアルツハイマー型認知症の早期診断補助とその他認知症の鑑別補助にある。また、経過観察にSPECT検査を利用することによって、経過や治療効果を客観的に評価することができる。特に局所血流低下評価には、統計学的画像解析が有用で、特徴的な脳血流分布から、種々の認知症の鑑別に役立てることができる。心筋MIBGや脳ドパミントランスポータSPECTでは、レビー小体型認知症やパーキンソン病合併認知症の特異的診断も可能である。脳槽シンチグラフィは、正常圧水頭症の診断に用いられる。

3.PET
佐村木 美晴 小野 賢二郎 山田 正仁

Positron emission tomography(PET)は、認知症の早期診断や病態研究において重要視されている。18F-fluorodeoxyglucose (18F-FDG) PETは脳のブドウ糖代謝を反映し、後部帯状回の代謝低下などアルツハイマー病(AD)における早期の変化を捉え、アミロイドPETはAD患者脳におけるアミロイドβ蛋白(Aβ)沈着の経時的評価を可能にした。

4.バイオマーカー
徳田 隆彦

アルツハイマー病(AD)では、27年ぶりに改訂された新臨床診断基準でもバイオマーカーが重視されている。これまでの検討からは、髄液中のAβ42およびタウ蛋白(総タウ、リン酸化タウ)が標準的なバイオマーカー、特に診断および予後判定バイオマーカーとして認められつつある。新規のADバイオマーカー候補として、髄液中Aβオリゴマーは診断および重症度判定バイオマーカーとしても有望であるが、現時点では開発段階である。

5.認知・心理テスト
福井 俊哉

認知症診断にて汎用される認知・心理検査を概観した。全般性認知検査として改訂長谷川式簡易知能評価スケールとミニメンタルステート検査について述べ、新規の検査法であるモントリオール認知評価検査を紹介した。簡易な前頭葉機能検査として前頭葉機能評価バッテリーと前頭葉行動評価に触れた後、代表的な精神症状の評価法である神経精神症状評価について解説した。

情報発信

◆神経内科学のトピックス
MIBG心筋シンチグラフィー
吉田 光宏

◆目で見る神経病理4
皮質型レビー小体
藤城弘樹

◆病名に名を残した医学者4
フレデリック・レビー
新井平伊

◆認知症に関連する用語4
機能的MRI(functional MRI: fMRI)/ ミクログリア
柴田展人

◆臨床に役立つ連絡先4
成年後見制度 part2
井藤佳恵


上へ