実臨床に活かす抗リウマチ薬ガイドブック―病院から在宅における緩和医療のためのQ&A

私の患者になってくれてありがとう

―残存小腸0㎝の短腸症候群、17年間の在宅静脈栄養の軌跡―

著:井上善文大阪大学国際医工情報センター栄養ディバイス未来医工学共同研究部門 特任教授
定価 本体2,500円+税
A5判296頁
ISBN978-4-86270-174-9



●著者が主治医として関わった残存小腸0㎝の短腸症候群の患者、中村絵里さん。2017年3月に亡くなるまでの彼女の17年間の在宅静脈栄養(HPN)の軌跡をたどりながら、同時に今日の臨床栄養の問題点や課題をもあぶりだす、渾身の1冊。

●絵里さんが懸命に歩んだHPNライフ。医療者がそこから学びとらねばならないことは何か? 本物の栄養管理とは?

まえがきより

 手術により小腸を全部摘出しなければならなかった患者さんがいる。診断は短腸症候群。食べることはできるが、小腸がないため、食べたものを栄養素として吸収される形にまで消化できないし、その結果として栄養素を吸収できない。食べても「栄養」にならない、身につかない。どうするか?
 50年前は、このような患者さんは生きていけなかった。栄養障害のために命を落としていた。「栄養」を管理するための手段がなかったために栄養状態が維持できなかったのである。現在は、このような患者さんも生きることができる。中心静脈栄養法(TPN)によって生きることができる、栄養状態を維持できる。TPNを家で実施する在宅静脈栄養法(HPN)を用いれば、ふつうに生活できる。ただし、それが何年、何十年と実施できる医療施設、医療者に巡り合うことができれば、である。さらに重要なのは、患者さん自身がこのHPNという医療の意義をきちんと理解し、確実に実施できる能力を有している必要がある。まわりの方、家族のサポートも必要である。臨床栄養学、特にHPNを理解した医療者と、そのような患者さんが巡り合うことができれば、本当の意味での、生きていくための「栄養」を管理することができる。
 この物語は、自信をもってHPNを実施できると自負していた外科医と、残存小腸0㎝となった29歳の女性患者が巡りあった、医療としての記録である。(井上善文)

内容目次

まえがき

第1章 絵里さんに実施した在宅静脈栄養

1.絵里さんの栄養管理を依頼される

2.絵里さんの病気:短腸症候群について

3.中心静脈栄養法:TPNとその実施方法の開発・進歩

4.在宅静脈栄養法:HPNの安全な実施方法の確立と現状

5.私の栄養管理履歴

第2章 絵里さんにHPNを実施する

1.阪大病院を受診するまで

2.絵里さんにHPNを開始する

3.学会のセミナーに絵里さんが登壇

第3章 出産

1.新しい命の誕生

2.絵里さんのCVポートを入れ替える

3.順調、順調

第4章 その後

1.再度の闘病生活

2.絵里さんを苦しめる症状が次々と

3.緊急入院、再出発

4.一進一退

5.そして…

第5章 エピローグ

1.家族の思い

2.最後に

上へ