認知症ハンドブックシリーズ②認知症の薬物治療 <改訂版>―コウノメソッド処方テクニック

認知症ハンドブックシリーズ②

認知症の薬物治療 <改訂版>

―コウノメソッド処方テクニック

著:河野和彦(名古屋フォレストクリニック院長)
定価 本体3500円+税
A5判170頁
ISBN978-4-86270-163-3



●アリセプト処方のさじ加減と注意点を国内で最初に説いた解説本、その改訂版がついに上梓。コウノメソッド構築のきっかけともなった歴史的な1冊を大幅に改訂。

●介護者・家族の手に負えない認知症患者を落ち着かせ、家族に笑顔をもたらす驚きの処方テクニックの神髄を85の症例とともに紹介。

<序>より

 私は臨床試験を実施した患者数とは比較にならない患者を診ています。例えばDLBの初診患者は年間約250例です。医学会の推奨や、厚労省の認可は腑に落ちないことばかりであることが現実です。もし読者が何の疑問も持たずに認知症の処方を続けているのなら、患者を診察する能力に欠けると言わざるを得ません。
 その後、レミニール、メマリーも使用が可能になりましたが、アリセプトとの効果の違いがわからないとか、同じようなものだと思っている臨床医が少なくないこともわかっています。患者を数多く経験していくと薬の違いがわかってくるのですが、それはこの改訂版で解説します。
 コウノメソッドは2007年からインターネットで公開され、ほぼ毎年更新してきました。その治療法を全国の臨床医に試してもらい、手ごたえを感じた医師は、2008年からコウノメソッド実践医に登録していただき公開しています。彼らの真価は、薬の副作用を出さないということが最大の能力です。それほど、中枢神経系の診療では副作用が多発します。
(中略)
 介護者の悲しみや苦しみを理解したうえでの処方は、かかりつけ医には欠かせないことです。それを考えると、興奮系のアリセプトをどのような患者にも投与したり、易怒があるのに増量規程通り増量したりするということが、いかに認知症介護の実態に沿わない処方であるかということを知っていただきたいと思います。
 この本の改訂版執筆を出版社から打診された時は、廃刊にしようとも思いました。しかし、多くの読者がこの本で初めてアリセプトの副作用を認識し、コウノメソッドの世界に入ってきたかを考えると、この本のアリセプトに関する詳細な記載は、歴史的に残されるべきと考え、その部分を保存しながら最新のコウノメソッド(点滴療法やサプリメントも含めて)を解説していくのが良いと決意したのです。

(河野和彦)

目次

1章 認知症を正しく治す

1. プライマリケア医に要求される医療レベル
2. 医療過誤を防ぐ知識
3. 認知症症状を理解する

2章 陽性症状を治す

1. 精神症状を一般人にわかりやすく説明する方法
2. 「興奮」の定義と薬
3. 陽性症状に対する処方
4. 抑制系の第一選択薬
5. 抑制系の第二選択薬
6. 妄想を減らす処方
7. 不眠の治療
8. BPSD(認知症の行動および心理症状)
9. 患者の不安材料を排除する
10. 介護負担軽減のための処方~まとめ~  

3章 陰性症状を治す

1. 陰性症状とは
2. 陰性症状に対する処方

4章 中核症状を治す

1. 中核症状に対する処方
2. アリセプトの効果とはどのようなものか
3. 前頭葉機能
4. 側頭葉機能
5. 周辺症状
6. 運動機能
7. 自覚症状
8. アリセプトの前期興奮について
9. アリセプトの後期興奮について
10. アリセプト用量と患者の「バランス」
11. アリセプト1.5mgで改善した症例
12. アリセプトの静穏作用
13. アリセプトを増量する必要がないケース
14. 中核症状が悪化した時どうするか
15. アリセプトのnon responderへの対応と中止時期
16. てんかんの対応
17. アリセプトの処方方針
18. アリセプトの中止
19. レミニールの臨床
20. リバスタッチパッチ・イクセロンパッチの臨床
21. メマリーの臨床

5章 認知症の細密な分析と処方

1. 認知症の複合を診断する
2. アルツハイマー型認知症のバリエーション
3. 認知症の複合を読んだ処方
4. レビー小体型認知症の対策
5. パーキンソニズムの制御
6. ペルマックスの興奮作用
7. パーキンソン病治療薬の使いこなし

6章 アルツハイマー型認知症以外の認知症

1. 特発性正常圧水頭症への内科医の関わり
2. 前頭側頭型認知症治療の試み
3. 脳血管性認知症の治療
4. 脳血管性うつ状態の治療
5. 降圧薬の選択
6. 脳梗塞予防薬
7. プレタールの抗認知症効果

7章 歩行障害系認知症の治療法

8章 各論 ~症例徹底研究~

1. アリセプトのresponderと軽症例に対する処方
2. アリセプトの長期効果
3. アルツハイマー型認知症の血管因子について
4. アリセプトの効果と副次作用の交錯
5. アリセプトによるパーキンソニズム
6. アリセプト無効例の特徴と経過

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